俺の飯はどうするんだ?
N代からメールが入った。
「ラクラシさん、S氏、聞いてほしい話があるの。飲みに行かない?」
はいよ。二つ返事。
次の日、3人が集まりやすい居酒屋さんに集合した。
なによ、なによ。どうしたよ。
まずはビールで喉を潤して、N代の話が始まった。
N代には日本に高齢のご両親がいて、
今回お母さんが歩けなくなり、検査の結果、腰の骨を3か所骨折していることが発覚し、
緊急手術をするということで、急遽帰国することになった。
同時期に同じ職場の女性が、お父さんが肝臓がんの末期ということで、
やはり緊急帰国することになった。
緊急と言っても帰国まで1週間くらいあるので、お休み申請をした後は、
二人とも休む間に予想されている分の仕事は早めに済ませ、
引継ぎ事項などもきちんとまとめて、それでも困った時は、
日本でもメールやテキストは受けることが出来るので、それで対処するようにして、
会社には極力迷惑をかけないように準備していた。
「それなのによ。」
「あなたたちがお休みする間、〇〇への連絡はどうするのよ。」
「〇〇は誰がするの!」
などなど、
自分たちの事しか考えない態度にむかついたと。
わかる。
すごくわかる。
うちの職場でも、親が危ないという理由で緊急帰国する人は少なくない。
職種は違うが、休まれると困るのは同じだ。
でも、休んで申し訳ないと思っている人に対して、少なくても私はそんなことは言わない。
「家族より大事な仕事なんてないんだから、こちらのことは心配せず、後悔しないようしっかり看病してきてくださいね。」
と言って送り出す。(自慢ではなく、心からそう思う)
海外で暮らしている日本人の中には、留学や駐在、結婚や転勤、
一時的な滞在、永住、市民権など、色々な人がいる。
日本の家族を大切に思う気持ちは皆さん同じだ。
遠くに住んでいたために間に合わなかったら、きっと一生後悔する。
その気持ちが分からないのかなあ。
使い古された笑い話の一つに、
定年退職したご主人が、どこへ行くにも奥様の後を付いて歩いて、
奥様が熱を出して寝込んだ時には、
「俺の飯はどうするんだよ。」
と、途方に暮れるというのがあったのを思い出してしまった。
自分で何とかして下さい