いつの間にか長くなったLA暮らし

ロサンゼルス(LA)に住み始めて、いつの間にか40年以上が過ぎました。仕事と趣味を楽しみながら、忘備録としてつらつら書いています。

読了「十の輪をくぐる」辻堂ゆめ オーディブル

ラクラシ

2021年へ!時代を貫く親子三代の物語


スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う80歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校2年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は・・・・・・東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。
51年前――。紡績工場で女工として働いていた万津子は、19歳で三井鉱山の職員と結婚。夫の暴力と子育ての難しさに悩んでいたが、幼い息子が起こしたある事件をきっかけに、家や近隣での居場所を失う。そんな彼女が、故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか。
泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始める。それは同時に、泰介が日頃感じている「生きづらさ」にもつながっていて――。
1964年と2020年、東京五輪の時代を生きる親子の姿を三代にわたって描いた感動作!前作『あの日の交換日記』が大好評!!いま最も注目を集める若手作家・辻堂ゆめの新境地となる圧巻の大河小説!!



この人の本を読むのは初めてだ。


「10の輪」とは、2つの東京オリンピックのことを指し、


1,964年と2020年の2回の東京オリンピックを背景に、


母の強さと家族の繋がりを描く大作だ。


この作品で最も心を揺さぶられたのは、


認知症の母・万津子が抱えてきた「語られなかった人生」の重さだった。


特に、DV夫との生活、家族からの冷遇、


そして発達特性のある泰介を必死に守り育てた姿は、読むほど胸が締めつけられた。



現代パートの泰介は、最初はモラハラ気味だったが、


娘の言葉をきっかけに自分の特性を知り、


少しずつ変わろうとする姿には強い希望を感じた。


人は何歳になっても、自分を知ることで変わることができる。


これは、読後に静かに心へ残った大きな学びだった。


読み終えて強く思ったのは、


「家族の過去を知ることは、その人を理解する第一歩だ」ということだ。



『十の輪をくぐる』は、ただの家族小説ではなく、


「人が誰かを思い続ける力」を描いた作品だ。読み終えたあと、


静かに心が温かくなる一冊だった。

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