いつの間にか長くなったLA暮らし

ロサンゼルス(LA)に住み始めて、いつの間にか40年以上が過ぎました。仕事と趣味を楽しみながら、忘備録としてつらつら書いています。

泣いた理由

私の母が亡くなる少し前に帰国し、姉と一緒に入院中の母のお見舞いに行った時、



「お母さん、来たよ。」



の私に、



「高いのに…。」



と、自分は寝たきりになっていたのに、60過ぎの娘のアメリカからの旅費の心配をしてくれた。亡くなるまで意識はしっかりしていて、たまにしか会えない娘との再会を喜んでくれた。



なので、ホンダ夫人が今回施設に入っているお母様のお見舞いに、お姉様と一緒に行った時の話が悲しくて、泣いてしまった。



認知の入ったお母様が、二人の娘の区別がつかず、



「娘が来てくれた。」



と喜んでくれたと思ったら、



「母が言う娘って、私の事です。」



と、お姉様が周りの人にアピールしていたと。
ホンダ夫人は、まるで透明人間のような扱いを受けたと。



近くにいて頻繁に面会に行ける人と違い、アメリカは遠い。LAからだと、直行でも11時間プラス、地方都市の場合は国内線の乗り換えがある。何かあってもすぐに行けない後ろめたさは、皆持っている。



親が認知症になり、自分のことが分からなくなるのは、悲しいことだが仕方がない。だからって、遠くに住んでいる者をないがしろにする理由にはならない。



姉が随分前に言ってくれたことがある。



「日本に居ても、間に合わないこともある。」
「遠くに住んでるからって、薄情だと自分を責める必要はない。」



と。



ホンダ夫人のお母様が彼女のことが分からなかったとしても、お姉様は、せめて、



「あなたには時々しか会えないから、多分お母さんは混乱しているのね。仕方ないわよ。悲しむことないわ。」




くらい言ってくれても良かったのに。もう、十分悲しんでいるのだから、追い打ちをかけることないのに。



そう思うと、聞いている私の方が悲しくなって、オイオイ泣いた。



 周りはドン引き

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