写真をどうするか
ヒロコさん(仮名)は、国際結婚されていて、ご主人はアメリカ人だ。日本に対して理解があり、ヒロコさんたっての希望の、「老後は日本へ」を受け入れ、日本へ移住をすることになった。
ヒロコさんのすごいところは、アメリカを引き払う際に、気に入りの数枚を残し、写真を全て処分したところだ。
「私は過去は振り返らないの。前を見て生きていくから、遺影用の写真があれば、他の写真はいらないわ。」
おとこまえ!!!
確かに、デジタル化になるまでは、写真は大きくて重いアルバムに貼って保存していたので、引っ越しの際は運ぶのが一仕事だ。
うちも、子供たちが産まれてから、それぞれにアルバムを作り、さらに家族用としてもアルバムを用意して保存してある。
今のコンドに引っ越す時は、生活を縮小する必要があり、日本から送られてきた、今見たら誰かわからない親戚の誰かの結婚式の写真とか、どこかの赤ちゃんのお宮参りの写真とかの、立派に装丁したアルバムは、申し訳ないが処分させてもらった。
それでも、かなりの量の写真が、アルバムに入って残っている。
子どもたちが自立するときに、
「アルバム、持って行ったら?」
との母の言葉に、あの子たち、
「いらない。」
だって。
ちょっとぉ。
あなたたちが産まれた時からの写真よっ。
あなたたちの歴史よっ。
「お母さんにあげる。」
ですと。
ヒロコさんの境地には、なかなか達することができない。