金属食器を使う理由
韓国人の食事に金属製の食器を使う理由の一つとして、「毒殺されないため」ということを聞いたことがある。
銀の箸は毒(ヒ素)にふれると色が変わる。食べ物に毒がふくまれていた場合、箸の変色でわかる。むかしの韓国では王や貴族を毒殺しようとたくらむ人間が多くいた。
それを防ぐために、上流階級の人間は銀製の箸を使っていたという。
その名残で、今でも金属食器を使っているという説もあるが、一般的には、「割れにくい」というのが大きな理由だそうだ。
高麗王朝時代から内乱や戦争が多く起きていた朝鮮では、民衆は行き場を失い、住居を移動するしかなかったという。特に大昔の韓国では車もなく、道も舗装されていなかった。
ガタガタ道を、しかも戦争が起きていて命の危険もある状態で必死で移動するには、割れやすい食器よりも割れにくい食器の方が当時の韓国ではよかったことになる。
また、1950年にあった朝鮮戦争も関係しているといわれている。ステンレス製の食器は比較的安価であり、しかもサビないことから、少しでも安く、しかも耐久性の高い食器を利用するようになる。以来、比較的安価であり、しかもサビにくいステンレス製の食器が現在の韓国ではよく利用されるようになってきたというのが大きな理由なようだ。
日本人は、「金属製の食器は、熱くて持てない。」と思うが、そもそも韓国では食器を持つという文化がないため、熱くて持てないという発想がない。
ご飯とスープはスプーンで、おかずはお箸で、器用に使い分けている様子にはいつも感心して観ている。
ただ、スプーンからお箸に持ち替える時、お箸の先を、直接テーブルにトンと付いて揃えているのに少し抵抗感があるのは、やはり国民性の違いかなと思う。