普段温厚な人が怒り、裏表のない人が自分の非を認めてすぐに謝った日
私が働く会社のオーナーは、子供の頃に親に連れられて渡米した韓国人女性だ。
元々の性格なのか、アメリカナイズされたのかは不明だが、
彼女、思い込みが激しくて、割と思ったことをすぐに口に出すタイプの人だ。
人によっては、そういう人を苦手と思う人もいるようで(特に日本人)、
私がオフィスに入るまでに、結構人が入れ替わった。
そのオーナーが、昨日は何か急ぐ用事があったようで、
終業時間の5時半になったと思ったら、オフィスの電気を全部消して、
アラームをセットして飛ぶように帰って行った。
残ったのは、マネージャー(フィリピン人)とジェーン(韓国人)と私の3人。
アラームはセットしたら1分以内に施錠しないと無効になる。
まだ仕事していたので、コンピューターを切ったりタイムカードを押したりするのに
3人でワチャワチャ。
突然電気を消されたから、真っ暗でタイムカードも見えない。
それでも何とか外へ出てマネージャーが施錠しようとしたところで1分が過ぎてしまい、
アラームが鳴り出した。
マネージャーは、韓ドラをこよなく愛するロマンチックな女性で、
普段から感情を表に出す事の無い、とても温厚な人だ。
その温厚なマネージャーが怒った。
「彼女はこんなことしちゃいけないわ!自分の事しか考えていない。
私たちを無視して、まるで意地悪をするみたいなやり方は
オーナーとしてするべきじゃない。」
びっくりしたよ。
オーナーは子供みたいな人で、何かで頭がいっぱいになると周りが見えなくなる。
だから、多分私たちが残っていたのを無視したわけじゃなく、見えなかったんだと思う。
でも、今目の前で激怒している人にはそんなこと言えない。
マネージャー、おもむろにアラームを切って、
「さあ、帰りましょ。警備会社からオーナーにアラームがセットになっていないと
連絡が行くはずよ。彼女が後でここに戻って来てセットし直せばいいのよ。」
こわっ。😱
もし私だったら、仕方ないなあと思って、セットし直してあげると思う。
でもそれだと、オーナーは自分が何をしたか気付かないだろう。
だから、マネージャーは怒って良いし、そのままにして帰ったのは正しかったと思う。
その日の夕方、オーナーからテキストが来た。
「ラクラシさん、警備会社から連絡が来たわ。
家族のことで緊急な用事が入ったので、急いで帰ることしか頭になかったの。
御免なさい。」
彼女の、思ったことをすぐ口にするところは、良く言えば裏表がないということだ。
自分が悪かったと思うと、次の日まで待たずに、こんな風にすぐに謝ることが出来る人だ。
そんなオーナーのことを、私は嫌いではない。