読後感 「東京貧困女子」
バブルの頃、女子大生や女子高生がもてはやされて、
男性はアッシー君とかメッシー君とか言われていた時代と同じ国の事だとは
思えない辛い現実に置かれている女性たちの話に、読みながら胸が苦しくなった。
学費や奨学金の返済のために、
疲労と共に自己嫌悪も感じながらパパ活や性風俗をする女性たち。
彼女たちの実情も知らない中高年や高齢男性たちからは、高圧的な態度で見下される。
自身の奨学金が親に奪われる。
父親の暴力、性的虐待、母親は精神疾患を患い、子どもたちの家庭環境は劣悪。
貧困が貧困を生み、負のループになる。
そこから抜け出そうともがいてももがいても、親は目の前の生活で精一杯で、
子どもの将来につながる教育についてなど考える余裕がない。
介護業界はブラック、シングルマザーとなった女性に子どもを養うチャンスはない。
シングルマザーにとって、日本はこれほどまでに厳しい国なのかと、
改めて考えさせられる。
アメリカは離婚率が高く、シングルマザーは珍しくない。
これは極端な例だが、シングルマザーだと子供の人数分だけ
食品購入用の補足的栄養支援(旧フードスタンプ)
低所得者光熱費補助プログラム
住宅バウチャー制度
メディケイド(低所得者向けの医療保険制度)
といった補助金が出るので、働かずに生活保護を受け、
パートナーはいても、補助が打ち切られないように、あえて結婚しない人もいる。
こういう人たちと比べると、
日本の社会は、シングルマザーに対して厳しすぎると言う印象を受ける。
女性であるというだけで、どうしてこんなに苦しまなくてはならないのか。
行政の制度の貧弱さ、介護職の悲惨な現場。
「日本は安心・安全」ではなかったのか。
当事者の方たちの苦しみを思うと、心が痛む。