ナオミさんの話①
初めてナオミさんと会ったのは、もう30年以上前になる。
当時彼女はまだ学生さんで、仕事をしながら大学ヘ通う頑張り屋さんだった。
毎年夏には出身地の淡路島へ里帰りしていた。
彼女がお土産で持ってきてくれる淡路島の名産「いかなごのくぎ煮」は、
彼女のお母さんの手作りで、それはもう大人気だった。
そのナオミさんと、久し振りに会う機会があった。
今年も日本へ帰ったからと、急な再会だったのにもかかわらず、
お裾分けと言って、多分自分用だったのだろうに、
貴重な海苔とちりめんを持ってきてくれた。
そんなに気を使ってもらったのに、私ったら、あれよ。
そう。
手ぶらよ。
恥ずかしいったらありゃしない。
このナオミさん、生活力というか生命力というかがとても強く、
働きながら学校へ通い、結婚と出産を経て、
大学院まで行ってPHD(博士号)を取り、大学の教授になっちゃった人だ。
そして、そこへ行くまでに、乳がんの克服もした人だ。
手ぶらで行ってごめん