D.P. 脱走兵追跡官
「D.P.」とは“Deserter Pursuit”の略語で、軍務離脱者(脱走兵)を捜索して逮捕する特殊な任務を指す。
チョンヘイン君演じるアン・ジュノが、脱走兵を捕まえるD.P.に任命され、逃げる兵を追う。
2014年に実際に起きた脱走兵の事件を基に作られたドラマのようだが、こんなこと、発表しても良いのかしらんと思うほど、かなり攻めた内容になっている。
オープニングで韓国の男子が成長して軍隊に入るのは、国民としての義務であるという映像が流れる。
約2年の兵役で体や精神力を鍛えることにで、人としても成長できるというメリットはあるかもしれない。
「ボーイフレンド」Vikkiでは、「Encounter」(出会い)の中で、パクボゴム君が年上の女性に告白するシーンで印象に残ったセリフがある。
「自分は、長男として責任ある行動をするよう育てられているし、兵役も済んでいるので、決して幼稚だとは思っていない。」
韓国人男性は、兵役を終えると大人の男として認められ、「アジョシ」(おじさん)という呼び名も、大人の男性として、尊敬を持って使われるという。
ボゴムくんも、ドラマの中で、子供に向かって自分のことをアジョシと言っている。
では、その約2年の兵役で、実際にはどのようなことが行われているのかを、6話完結のこのドラマの中では、数点紹介している。そのどれもが、見ていて辛くなるほど切羽詰まっている。
イジメの問題などでは、家族が必死に育ててきた子供たちの一生が潰れてしまうのではないかと思わせる。上官は何をしても許される軍部の慣習の問題、それを傍観するしかない同僚たちの思い。
脱走兵に向かって、チョンヘイン君が言う。
「捕まえに来たんじゃない。助けに来たんだ。」
自殺にまで追いつめられるほどのいじめが実際に行われているという実態を、世界に向けて発信するすごさも含めて、心にずしんと来るドラマだ。