いつの間にか長くなったLA暮らし

ロサンゼルス(LA)に住み始めて、いつの間にか40年以上が過ぎました。仕事と趣味を楽しみながら、忘備録としてつらつら書いています。

読後感『82年生まれ、キムジヨン』


韓国でベストセラーになった小説の日本語訳。


チョン・ユミさんとコン・ユさんが演じて映画にもなった。




『82年生まれ、キム・ジヨン』予告 10月9日(金)より 新宿ピカデリー他 全国ロードショー



韓ドラを観ていると、女性たちはみな美しくて優秀で、


キャリアウーマン(死語?)が出てくることが多い。


女性の役員や上司も多いし、下町のアジュマ達は生活力があってたくましい。


でも、今でも社会の中では


女性蔑視やセクハラがあることを見せているドラマも少なくない。


短い期間に経済的に発展してきた陰には、その速さに付いて行かない古い価値観が


相変わらず残っているのだなあと思わされる。



この本は、キムジヨンという女性が、女性であるばかりに受けてきた理不尽な扱いを、


淡々と綴っている。



苦労してやっと就職しても、男性社員に比べて待遇に差があったり、


特に結婚、出産、育児は女性が担当するものだという考え方はいまだに根強い中、


「いったん退職し、落ち着いたらまた働けば良い。」


と安易に言う夫の言葉に対して



「失うもののことばかり考えるなって言うけど、私は今の若さも、健康も、職場や同僚や友だちっていう社会的ネットワークも、今までの計画も、未来も、全部失うかもしれないんだよ。だから失うもののことばっかり考えちゃうんだよ。だけど、あなたは何を失う」



と返したジヨンの言葉が胸に刺さった。



巻末の解説の中で、伊藤順子さんが書かれていたが、この本の中では、


ジヨンの夫のチョン・デヒョン以外の男性には名前がない。


父親も弟も、最後まで父親と弟のままだ。



女性は、結婚すると○○さんの奥さん、育児をしている間は、○○ちゃんママなど、


名前を呼ばれることが少ない。


このことを意識しているのか、この本の中では、女性にはすべて名前がある。


そのことにも意味があるのだと伊藤さんは言っている。




映画にはコン・ユさんが出演するということで、期待して観たが、


私は小説の方がジヨンの気持ちに寄り添うことが出来たと思う。

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