母の母の日と私の母の日
母が存命だった頃は、母の日には毎年お花を 贈っていた。母もそれを知っていたから、毎年楽しみにしていてくれていた。
「ああ、今年もお花を贈ることができて良かったなあ。」
と、毎年、これが最後になるかもしれないと思いながら、受け取ってくれる母がいることに感謝していたものだった。
私の子供たちは、小さい頃は学校で作ったカードなんかを持ってきてくれていたが、大人になってからは特にプレゼントもなく、私もそれに対して別に不満を持ったことはなかった。
それが、二人の息子が結婚してからは、お嫁ちゃんたちが良く気が付くからか、お祝いをしてくれるようになった。
毎年の母の日は、自分の母にお花を贈り、自分を母と思ってくれる人にお祝いをしてもらうという、とても幸せな日になった。
母が亡くなり、もうお花を贈ることもなくなって久しい。
それが今年、両親の遺灰を、今は姉夫妻が住んでいる元実家から徒歩10分の納骨堂に移したそうで、母の日にお参りに行ったと、姉から写真が送られてきた。
カーネーションと、好きだったお餅をお供えしてもらって、母もきっと喜んでいることだろう。
私はと言えば、今年も上の息子の家に呼んでもらい、夕食をごちそうになった。
お土産に、私の好きな紫色のお花と、ハイボール用のお酒。
夜には下の息子から電話が入り、いつもありがとうの言葉と、日を改めてお祝いしてくれるとのこと。
「プレゼント、何が良いか考えておいて。」
「お母さんは、欲しいものは何もないのよ。いつも気にかけてもらって、元気な顔を見せてくれたら、それが一番嬉しいのよ。」
「まあ、そう言わないで。」
「そう?じゃあねえ…。」
台無しだよ。