耐える女
ラクラシ課の私の席は入り口のドア近くで、オーナーが外回りから帰ってくると、
いつも、
「暑い、暑い」
と言って、ドアを開けっぱなしにしたうえに、
クーラーの温度をガンと下げるのはいつものことだ。
様子を見ながら、私がソロー―ッとドアを閉めに行くのもいつものことだ。
今回、私の席の後ろの部屋が、水漏れでカーペットに水がしみ出て来て、
床の修理をすることになった。
業者が来て、家具を動かし、奥の床を貼り換えたところ。
床を貼り換える前に、業務用の大型扇風機を置いて、
半日ほどかけて濡れた床を乾かした。
後方から、凄い強風がビュンビュン吹いて来るし、
乾くに従って砂塵が飛んで来るし、
音はうるさいし、
砂塵を出すために入り口のドアを開けっぱなしにしたので、
前方からは冬の冷たい風がビュービュー入って来るしで、寒さマックス。
そうのうえ、オフィス全体にエアコンが効いている。
頭上には通風口が付いていて、ここから冷たい風が吹いてくるので、
こればっかりはとても我慢が出来なくて、
オーナーに頼んで、ビニールで塞いでもらった。
耐える女ラクラシ。
ただ、黙って耐えてるだけの女ではない。
良い機会だから言ってやろう。
というのは、この部屋にあるラクラシ部のキャビネットの問題だ。
となり部のことで頭がいっぱいのオーナーは、
ラクラシ部のことをないがしろにしがちで、こういうことを平気でする。
今回、床の修理のために動かした家具のせいで、
キャビネットは完全に塞がれてしまっている。一時的だけど。
「忙しいところ済みません。ここのファイルが出せないんですけど。」
と、どさくさに紛れて主張してみた。
「あら、それは悪かったわ。」
と、ジェーンと一緒に家具を動かして場所を作ってくれた。
これで、床が直って家具を戻す時にまた同じことをしたら、
次は言いやすい。
どうなるか。