差し入れのドーナツで思う母娘関係 / 読書:「月の立つ林で」 青山美智子
今日差し入れでいただいたのはドーナツ。
可愛いデコレーションで、写真を撮ろうと思ったら、
マネージャーが先に一個取ってしまって、私が写真を撮っていたら、
戻って来て撮影させてくれた。ありがとさん。
見かけほど甘くなくて美味しかった。
今日は、バイトのハナちゃんも、オーナーの娘のチエちゃんもいなくて、
若い人がいないと、こういうものは減らない。
余ったの、頂いて帰った。
オーナー娘のチエちゃんは、感心するくらいに良い子だ。
普通、お母さんと24時間一緒って、大変だなあ、特にコリアンママは強いから、
そういう人とうまくやって行くって、難しそうに見えるんだけど、
しょっちゅう大きな声で、
「チエ!! Come here!!!」
と呼ばれても、嫌な顔一つしないで、色々仕事の手伝いをしている。
一時は、他の州へ行ったり、日本へ行ったりしていたけど、
結局戻ってきた。
やっぱり親元が良いのだろう。
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読んだ本。
『お探し物は図書室まで』の作者の青山美智子さん。
彼女の本は、共通のモチーフを軸に、話ごとに主人公を変え、
物語がリレー形式で綴られていくのが特徴のようだ。
この、「月の立つ林で」では、月をテーマにしたポッドキャストが
毎回出てくる。
登場人物たちは、作品の中に出てくる、
タケトリ・オキナという男性が語るポッドキャストの番組
『ツキない話』を聞くことで、月に関する話に心を寄せながら、
それぞれの毎日を紡いでいく。
『ツキない話』の中にくり返し出てくる「新月の話」というのがとても印象的だ。
タイトルにもなっている『月の立つ』というのは、月のはじまりのことで、1日の当て字『ついたち』の語源、『つきたち』をあらわした言葉だそうで、新月の日をついたちと呼ぶのだそうだ。
登場人物たちは、仕事や家族関係で悩みながらも、今は新月で、何も見えない状態でも、「新月」イコールここからスタートと思うことで、やがて物事を前向きに捉えていく。
新月とは地球から見て月と太陽の方向が同じになり重なるので、
地球からは見えない月だ。
見えないけれど、確かにそこにある、大きな存在だ。
自分の力ではどうにもできないことがある。
自分で自分を抱きしめることなんかできない。
でも、見えなくてもそこにあると確信することで、自分を取り戻すことが出来る。
長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦められない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士......。
5人の主人公たちの心情の、どれにもとても共感できて、
特に、3話目の、娘を遠くに嫁がせた父親の話が、ぐっと来て、
思わず泣けてしまった。