いつの間にか長くなったLA暮らし

ロサンゼルス(LA)に住み始めて、いつの間にか40年以上が過ぎました。仕事と趣味を楽しみながら、忘備録としてつらつら書いています。

読書:「ポンコツ一家」にしおかすみこ



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芸人のにしおかさんが、コロナで仕事が激減したこともあり、


久振りに戻った実家が大変なことになっていたところから始まるドタバタ劇。


家族紹介。
うちは、
母、80歳、認知症。
姉、47歳、ダウン症。
父、81歳、酔っ払い。
ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。45歳。独身、行き遅れ。
全員ポンコツである。
ただ、皆が皆ずっとこうだった訳ではない。
何十年かぶりに、私は実家に戻った。
まずはその理由を、いや長めの愚痴にお付き合い頂けたら、とても嬉しい――。

websiteより



ご本人は愚痴だと言うけれど、愚痴と一言で言いきれない思いがたくさん詰まっている。



認知症のお母さんと、ダウン症のお姉さんの介護は、


大変を通り越して、悲惨なはずだ。


それを、にしおかさん独特のユーモアと言葉のセンスで、泣き笑いに変える。


だいたい、会話が会話になっていない。



「あんたがどう思ってるなんか、どうだっていい! 小っちゃくて、太ってて、汚くて、ハゲてる子をママが死んだら誰が可愛がってくれる? あんた無職で、パパクソアル中で、誰がどうやってお姉ちゃんの面倒見るんだ! ママだって八十まで生きていられるかわかんないよ。せめてハゲは食い止めたいんだよ。パパクソに似てる? あんなふざけた頭と一緒にするな!」  訂正箇所が多くて戸惑う。
にしおかすみこ. ポンコツ一家 (Japanese Edition) (p. 83). 講談社. Kindle Edition.



読んでいる方は、思わずクスッとしてしまうが、言っている本人は大真面目だ。


こういう会話が、これでもかというほど出てくる。


そんな家族とのやり取りの中に、終始温かいものが流れているのが分かって、


ああ、家族っていいなと思わされる。


それでも、時には辛くて逃げだしたくなるのではないかと思うのだが、


にしおかさんは、認知症のお母さんに対しても、ダウン症のお姉さんに対しても、


常に真正面から向き合う。



そうして、少しずつ、本当に少しずつ、


ゴミ屋敷だった実家が片付き始め、ごみ箱だった冷蔵庫の中も片付き始め、


家族の中に、会話が成立し始めてくる。



にしおかさんが、女王様キャラでテレビに出ていた頃、


キャラになり切れず、いつも、どこか恥ずかしそうにしていたのが印象的で、


きっと真面目な人なんだろうなあと思った。


この本を読んで、ますますそう思った。


そして、頭の良い人なんだろうとも思った。


言葉のチョイスが上手で、家族に対して、きついものの言い方をしているのだけど、


その言葉には愛があり、諦めない強さがある。


まだまだ進行形で、続編も出版されているようだ。


にしおかファミリーを、これからも応援していきたいと思っている。

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